- 2025.6.27
天皇家の愛犬「由莉(ゆり)」が亡くなって。ニュースを見て思う、“ペットは家族”という当たり前の尊さ

第1章:由莉(ゆり)とは──愛子さまが名付けた“家族”の存在
2025年6月26日、宮内庁より、天皇皇后両陛下と愛子さまの愛犬「由莉(ゆり)」ちゃんが、老衰により16歳4ヶ月で静かに息を引き取られたと発表されました。
※亡くなったのは23日夕方
由莉ちゃんは2009年春、動物病院で保護されていた雑種の保護犬で、生後約2ヶ月のときに皇室に迎えられました。
由莉という名前は愛子さまが名付けられたもの。2009年2月に先代犬「まり」が旅立たれ、その2ヶ月後に迎えられた由莉ちゃんには、「自由」を意味する「由」と、「ジャスミンの“莉”」を組み合わせた漢字が使われました。前の愛犬と響きを合わせたというその名づけには、深い愛情が込められています。
第2章:日常に寄り添う“家族”──由莉ちゃんと皇室の絆
由莉ちゃんは、那須御用邸や御所、公務先にまで静かに同行し、しばしばご一家の日常に寄り添っていました。中には、愛子さまの通学に付き添ったという、心温まるエピソードも報じられています(朝日新聞)。
また、小児病棟でのセラピー活動にも参加し、多くの子どもたちに笑顔と温もりを届けたことが報じられています。
特に愛子さまが2009年5月、那須御用邸へ向かう際に子犬だった由莉ちゃんを両腕でしっかりと抱かれていた姿が印象深く、多くの人々の記憶に刻まれました(由莉ちゃんがご家族写真に登場する様子は、2009年5月の御料牧場訪問時の報道写真などにも残っています) 。
また、朝日新聞の記事では、由莉ちゃんについて「妹とも親友とも呼べる存在」と、愛子さまの側近が語った言葉が紹介されています。これは愛子さまご本人の発言ではありませんが、深い愛情と絆がうかがえる印象的な表現として、多くの人々の共感を集めました。
天皇陛下は以前の会見で、「犬がいることで夫婦仲は良くなる」と笑顔で語り、皇后陛下も「喧嘩の種は犬が拾って食べてくれるような気がします」とユーモアを交えてその存在を家族の潤滑油として捉えていることを明かされています(1999年、2008年のご発言)
。こうした皇室の姿勢は、「犬をただのペットではなく、大切な家族として迎えている」という明確なメッセージを私たちに届けてくれています。
第3章:雑種の保護犬を迎えた意味——すべての命に敬意を
由莉ちゃんは、血統書付きの犬ではなく、保護犬として皇室に迎えられた雑種犬でした。
この選択には、皇室が命そのものを尊び、どのような背景を持つ存在にも平等に愛情を注ぐという、強い意志が込められているように感じます。
そして「可愛らしさ」や「品種の価値」ではなく、「ともに暮らし、心を通わせること」こそが大切なのだと、皇室の姿勢が静かに語りかけてきます。
那須御用邸や御所での生活、そして時に公務に同行し、家族と同じ時間を過ごしてきた由莉ちゃん。
その姿には、「犬はただの愛玩動物ではなく、心を通わせる“家族”である」という確かな信念が宿っていました。
血統書があること、雑種であること、保護犬であること、それらは決して優劣ではなく、「生きている」ことそのものが尊いという当たり前の事実を、皇室は実践によって私たちに示してくれているのです。
第4章:愛子さまと由莉——深い絆のカタチ
2014年の学習院初等科卒業文集『桜愛集』には、愛子さまご自身が〈犬や猫と暮らす楽しみ〉について綴っており、その中で由莉ちゃんを「家族の一員」として心から愛していた気持ちが伝わってきます。文集では、保護犬や保護猫と過ごす時間が「心が和む楽しい時間」だったと述べられ、命への敬意と感謝が綴られています:contentReference[oaicite:2]{index=2}。
愛子さまは文集の中で、殺処分の現実に胸を痛めた経験にも触れ、「命には価値があり、それを尊ぶ社会が必要」と強い思いを表明されています。由莉ちゃんとの日々は、そうした考えを育む大切なきっかけとなったのでしょう。
皇室では、動物を救い、育て、見守る精神が家庭的にも育まれてきました。例えば、雅子妃殿下は怪我をしたタヌキを保護し、その後自然に返されたというエピソードもありますが、由莉ちゃんと愛子さまの絆には“家族として共に生きる”という深い共鳴が感じられます。
これらの記録からは、由莉ちゃんがただ可愛がられただけではなく、命への学びと感動をもたらし、皇室に「命を慈しむという文化」を静かに根付かせていたことが見て取れます。皇室における“命と共に生きる”姿勢は、由莉ちゃんと過ごした日々から鮮明に感じられるのです。
第5章:命を迎え、命を見送る――皇室が示す姿勢
由莉ちゃんは、2025年6月23日夕方、皇居・御所にて天皇皇后両陛下と愛子さまに見守られながら、静かに息を引き取ったと宮内庁が発表されました 。
その最期の時間は、家族として見守る者と迎えられる者の間に流れる“無言の安心”と“感謝の空気”が共鳴する瞬間でした。続報では、「皇室の皆さまは、由莉ちゃんの長寿とその存在に深い感謝を抱かれていた」とも報じられています 。
この場面を通じて明らかになったのは、皇室が命に対して示した以下の二つの姿勢です
- 命には寄り添い、最後まで敬意を払うという姿勢:長年ともに過ごした家族である由莉ちゃんに対し、最後の瞬間まで温かな思いを持って接した姿は、皇室の慎み深い慈愛の象徴と言えるでしょう。
- 命に敬意を示すとは、「誰にも見せない時間」も大切にするということ:公の場ではない、家族だけの静かな時間を作り、そこに込められる愛情と感謝は、ペットのお葬式においても忘れてはならない精神と重なります。
このような皇室の実践は、私たち一人ひとりが「命ある存在を送り出すとき」にどのような姿勢で臨むべきか、その模範を静かに示してくれているように思えてなりません。
最終章:静かに寄り添う“後悔しないお別れ”の形
皇室では、犬が家族もつなぎ、支え、癒しの存在であることが笑顔とともに語られています。
以前に天皇陛下が「犬がいると夫婦仲が良くなる」、皇后陛下が「喧嘩の種は犬が拾って食べてくれる」とユーモラスに語ったように、そこには命に寄り添う日常があったのです。
そして最期の瞬間――御所にて天皇皇后両陛下と愛子さまに見守られながら、由莉ちゃんは静かに旅立たれました。その穏やかさには、皇室が見せた「敬い」と「ありがとう」の想いが込められています。
この姿勢を、私たちも学ぶことができるはずです。ペットとの時間は短くとも、そこに込める「ありがとう」の重みは、人生を豊かにしてくれるものです。
命に寄り添うとは、ただ一緒にいるだけでなく、最後の最後まで愛情と敬意を持って見送ること。
あなたのそばにいる大切な“家族”にも、どうかその思いを届けられますように。
そして、後悔のないお別れができますように──心から願っています。

広島県広島市生まれ、大学で東京に行くが広島が好きすぎて卒業後すぐに故郷広島に帰る。
子供のころから猫を飼っており無類の動物好き。最近は猫2匹、オカメインコ、フトアゴヒゲトカゲ、犬という構成で生活してます。
資格:動物葬祭ディレクター